マオリの伝統芸能、奥義をきわめるカパ・ハカ
カパ・ハカとは、ニュージーランドを代表するマオリ文化を凝縮した伝統芸能です。
オールブラックスが闘争心を高めるために試合前に行う強く激しいハカや、優しいハーモニーを奏でるマオリの合唱、それに合わせて踊る美しく優雅なダンスまで、その「動」と「言」が織り成すパフォーマンスは、マオリ文化にのみ見られるユニークなものです。
伝統芸術と現代芸術の融合
カパ・ハカのカパとは「一列に並んで立つ」、ハカとは「踊る」ことを意味します。他の民族芸能と異なるのは、歌と踊り、表情と動き、ひとつひとつの技芸にこれらすべてを組み合わせなければならない点です。
伝統芸術に現代芸術をうまく取り入れたカパ・ハカのパフォーマンスには、ワイアタ(歌)、ハカやポイダンス(ひもの先に丸い玉のついたポイを使う踊り)といったものが含まれます。これらは、舞踊団などのグループもしくは個人によって行われるもの、公式にもしくは形式張らないかたちで行われるもの、などがあります。披露される場所も、マラエ(マオリの集会場)や学校、フェスティバルの会場などさまざまです。
全国大会「テ・マタティニ」フェスティバル
あらゆる人々が集い競うという意味からテ・マタティニ(たくさんの顔)と名づけられたカパ・ハカの全国大会は、隔年で開催されています。次回は、2009年2月19日~22日、ベイ・オブ・プレンティ地方のタウランガにて開催されます。
マオリ伝統芸能の最高峰を競うこの大会では、全国から4万人を超える観客が集まります。2009年の本大会には、ニュージーランドの13地区を代表する36チームとオーストラリアの2チームに出場権が与えられます。この出場権を獲得するには、それぞれの地区で熾烈な争いを勝ち抜いていかなければなりません。
複雑にからみあう多様なパフォーマンス
出場チームは技芸の中に6つの内容、ファカエケ(振り付けされた入場)、モテアテア(伝統的な祝詞)、ワイアタ・ア・リンガ(アクションと歌)、ポイ、ハカとファカワテア(退場)を含めることが求められます。各チームはこれらすべてを25分のパフォーマンスで出し切らなければなりません。
パフォーマンスの腕を競う優秀賞のほかに、マヌクラ・ワヒネ(最優秀女性リーダー)とマヌクラ・タネ(最優秀男性リーダー)、カカフ(最優秀舞台衣装)、テ・レオ(マオリ語)を競う賞も設けられています。
テ・マタティニの主催責任者、セルウィン・パラタ氏は「パフォーマンスを通じて、多様なマオリの部族やファナウ(家族)の間にある強い結束力を見て取ることができます。それと同時に、チームと観客が一体となることからも、ただパフォーマンスを披露する祭典にとどまらないことがわかります」と述べています。
チームは、14歳以上の幅広い年齢層からなる24~40名のメンバーで構成されます。パラタ氏は「カパ・ハカの技能や体験は何世代にもわたって受け継がれています。祖父母とモコプナ(孫)が一緒のチームで競うことも珍しくありません」と語っています。
最高峰を決める最も重要な文化イベント マオリ文化を祝う数ある祭典の中でも最も重要な「テ・マタティニ」は、1972年に始まり、前回は2007年にパーマストン・ノースで開催されました。
本大会では4日間にわたり、観客はニュージーランドでも最高のマオリ伝統芸能を楽しむことができます。カパ・ハカのパフォーマンスでは、女性たちがポイを同じように動かしながら、優しい歌声を聞かせたり、その一方で、一息つく間もなく、勇猛な戦の雄叫び、うなり声、そして背筋が凍るような叫び声による「ハカ」が披露されます。
2007年にテ・マタティニは、文化の多様性の保護と推進を目的のひとつとするユネスコの支援を受けることが決まりました。ユネスコでは、国際的なフェスティバルの中でも、「テ・マタティニ」を重要な文化イベントと位置づけ、同組織の世界的なネットワークや国際連合の関連機関を通じて本大会の振興を図っています。
演芸の歴史 ワイアタには、子守歌(オリオリ)、愛に捧げる歌(ワイタタ・アロハ)や追悼の歌(ワイアタ・タンギ)などさまざまな曲があり、独唱もしくは斉唱、8名の合唱で披露されます。スピーチの最後は歌で締めくくるのが慣わしで、ユニークな音色を響かせる小さな笛のような伝統楽器が使われることもあります。ポイはワイアタのリズムを示すように、音に合わせた動きを表現します。
大航海を終えたキャプテン・クックは、マオリは半音で歌っていると報告していますが、これは彼らがマオリが歌う微分音を聞いていなかったためと推測されています。一つの音を中心に単一のメロディーラインを繰り返すマオリの歌は、最後のパートで音域が下がります。歌が途中で途切れるのは悪い兆しと受けとめられ、ひとりが息継ぎをする間はグループのほかのメンバーが歌うように、お互いをカバーするようになっていました。後に、ヨーロッパ移民の影響を受け、現代のマオリ音楽にみられるようなハーモニーを取り入れるようになりました。
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