大自然の魅力にあふれたニュージーランド
足跡一つ無い輝く砂浜、樹齢1000年の木々が生い茂る原生林、地熱地帯の沸き立つ泥池、雪を頂く山々とその麓に広がる緑の牧草地帯。ニュージーランドを訪れた人はその風景の多様さに驚かされるでしょう。
ニュージーランドは北島では火山活動が活発で、地質学的にみるとまだ大変新しい土地ですが、世界でも例を見ないほど太古からの動植物が残っています。植物の中にはあまりにも原始的なため、生きた化石と呼ばれているものもあります。トゥアタラという名の大型のトカゲは、2億2千万年前地球上を闊歩していた恐竜の唯一の末裔です。一番大きな個体は体長60センチ、100歳にもなり、保護区や沖合いの島々で見ることができます。
庭でよく見られる昆虫ウェタも同じように太古の昔から生き続けています。ウェタはネズミほどの大きさがあり、とげのある足と大きな顎を持っています。ニュージーランドの国鳥キーウィは、長いくちばしの先端に鼻がある、夜行性の飛べない鳥です。約7千万年前、ニュージーランドは巨大なゴンドワナ大陸から分裂し、島となりました。小型のコウモリ以外、哺乳類も有袋類もいなかったこの島では、鳥類、爬虫類、そして昆虫たちが捕食動物の危険にさらされることなく、独自の進化を遂げたのです。
多くの固有種の鳥と同様に、キーウィも自然界での生存が難しくなっています。野生の猫やオコジョといった捕食動物によって、個体数が著しく減少し、また、キーウィが生息できる土地も減少しています。北島では造船や家屋の建築のために木々が伐採されたり、放牧地を作るために開拓されたりして、もともとあった豊かな降雨林は残り少なくなっています。今も残る貴重な降雨林の中を歩けば、畏敬の念を抱かずにはいられないような世界が広がっています。まるで緑の大聖堂のように頭上高く枝葉が覆い、下層には木生シダやヤシ、つる植物が茂っています。そしてやわらかな苔が地面を覆っているのを見ることができるでしょう。最も高い木はカヒカテアというマオリ名で知られるマキ科の針葉樹で、高さ60メートルにも達します。最も有名な木は世界でも最大級の巨木カウリです。北島のワイポウア・カウリ森林保護区には、幹の周囲17.2m、高さ51.2m、樹齢1200年以上というカウリの木があり、タネ・マフタ(森の神)と呼ばれ崇められています。駐車場から徒歩数分という楽に行ける場所にあります。
都市近郊の保護区
国内最大の都市オークランドから船に乗り、保護区となっているティリティリ・マタンギ島へ行ってみましょう。ここでは何年にもわたるボランティア活動によって固有種の植物が移植され、絶滅が危惧されているニュージーランド固有の鳥たちが数種類生息しています。この中には1948年にフィヨルドランド地方で再発見されるまで絶滅したと考えられていた鮮やかな青い色をした大型の飛べない鳥タカヘや、本土の森林ではめったにその鳴き声を聞くことはないコカコも含まれています。
主にブナの森に覆われた北島や南島の壮大な山岳地帯には、ハイキングやロッククライミング、スキーを楽しむためにアドベンチャー好きな旅行者が集まります。北島の中央火山台地にはルアペフ山、トンガリロ山、ナウルホエ山が聳え立っています。森林限界線より上の岩がちな斜面には、黄褐色のタソック(高地に生える草)が広がり、黄色のラナンキュラス、白いマウンテン・デイジー、甘い香りのピメレアなどが花を咲かせます。南島にはサザンアルプスが背骨のようにのび、国内最後の秘境フィヨルドランド地方へと続いています。サザンアルプスの山々には600種余りの植物が生育し、そのうち93%はニュージーランド固有の植物です。南島の山岳地帯で必ず見かけるのがケアと呼ばれるずるがしこいオウムです。その行動はおもしろくもありますが、人間を恐れることがなく、車から物を盗んだり、ワイパーやミラーを傷つけたりもします。亜高山帯の生息地に餌が少なくなると、ゴミをあさったり羊を襲ったりするようになり、1970年までは間引きの対象となっていました。現在は他の固有種の鳥と同じように法律によって保護されています。
外来種の害獣たち
蛇や毒虫のいないニュージーランドでは大自然の中で安全にウォーキングが楽しめます。しかし外から入ってきた動物がいないわけではなく、野生のヤギ、鹿、ネズミ、オコジョ、イタチ、オーストラリアのポッサムなど外来種の動物も生息しています。これらの動物はもともとの生息地では害の無い生き物ですが、ニュージーランドでは害獣にあたります。固有種の樹木や草木の新芽や葉を食い荒らしたり、固有種の鳥たちの餌を奪ったり、卵や雛を食べてしまったりします。キーウィの場合では雛の95%が6ヶ月になる前にこういった害獣に殺されてしまうのです。最大の脅威はポッサムです。大規模な駆除活動にもかかわらず、現在も約7千万匹のポッサムがいると推定されています。
海洋生物の宝庫
長い海岸線を持つニュージーランドは、海洋生物に興味のある旅行者にとって魅力的な環境を備えています。南島の東海岸、カイコウラの町の沖ではマッコウクジラの群れが生息しています。クジラを観察する所要3時間のボートツアーが一年を通して催行されており、時にはシャチやザトウクジラも見ることができます。岩の多いカイコウラの海岸にはニュージーランド・オットセイの群生地もあり、波と戯れる様子を展望台から見学することができます。イルカもニュージーランド全国の海に生息しています。南島のクライストチャーチ近郊の小さな町アカロアでは、ニュージーランドにしか生息しない珍しいヘクターズ・ドルフィンを見ることができます。
活発な地熱活動
ニュージーランドの大自然の見所の中でも、北島の中央火山台地に位置するロトルアの地熱地帯に勝るものはないでしょう。ミネラルを豊富に含んだ熱湯が何メートルもの高さまで噴き出す間欠泉や、ゆっくりと湧き上がる泥の池があり、この地域に数多くある湖の岸辺からは蒸気が上がっています。ファカレワレワは、昔からの主要な観光地であると同時に、先住民マオリのナティファカウエ族にとっては聖なる地でもあります。ワイマング火山渓谷にも壮大な地形が広がり、唯一人間の手が加えられていない間欠泉地帯として重要な意味を持っています。地熱を発電に利用するようになって以来、多少穏やかになったとはいえ、今も力強い地熱活動の様子を見ることができます。
夏の風物詩
夏にニュージーランドを訪れれば、「ニュージーランドのクリスマスツリー」を見ることができます。こう呼ばれているのはクリスマスの時期に開花するポフツカワの木で、その真っ赤な花が北部のビーチ沿いや海に面した断崖を美しく彩ります。マオリの人々にとっては文化的に重要な意味を持つ木でもあります。北島北部ノースランド地方のレインガ岬にはポフツカワの老木があり、人の魂は死後この木の根を伝って地中に入り、先祖の故郷と語り継がれているハワイキの島へ旅立っていくと言われています。また、カフィア・ハーバーにあるポフツカワは、1000年前に太平洋を渡ってきたタイヌイ族の祖先がカヌーを繋いだと言われている木です。今日のニュージーランド人にとって、ポフツカワは輝く太陽の下、海辺で過ごす夏(11月~2月)の象徴です。ポフツカワの涼しい木陰では、いつも誰かがお弁当やフィッシュ&チップスを広げピクニックを楽しむ姿が見られるでしょう。
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