『インビクタス/負けざる者たち』にマオリの専門家がハカのアドバイス
2010年1月29日
クリント・イーストウッド監督の最新作『インビクタス/負けざる者たち』の制作にマオリ文化の専門家が参加し、伝統のハカとニュージーランド代表オールブラックスに対する関係者の多大な敬意に感銘を受けて帰ってきました。
この男性は、ロトルアのイニア・マクスウェル氏。オールブラックスの選手役のトレーニングとイーストウッド監督のアドバイザーを務めるため、ヨハネスブルクに向かいました。
カパハカとともに生きるマクスウェル氏は、2011年にニュージーランドで開催されるラグビー・ワールドカップのプロモーションにも参加しています。オールブラックスの演出は映画の印象を左右する重要な要素ですが、カパハカに対する監督と出演者の真摯な姿勢には大いに感心したということです。
ラグビー・ワールドカップ
このほどニュージーランドでも日本でも封切りになったばかりの映画『インビクタス/負けざる者たち』は、1995年のラグビー・ワールドカップ決勝戦にまつわる実話をもとにした作品です。この年のワールドカップは南アフリカで行われ、決勝はニュージーランドのオールブラックス対南アフリカのスプリングボックスの組み合わせとなりました。
映画は就任後間もないネルソン・マンデラ大統領とスプリングボックスのキャプテン、フランソワ・ピナールが力を合わせ、アパルトヘイトで隔てられていた南アフリカの民族を融和へと導く過程が描かれています。
マンデラ大統領役にモーガン・フリーマン、ピナール選手役にマット・デイモンを起用したクリント・イーストウッド監督の最新作は、細部にまでこだわった描写と芸術的かつ簡明な構成で既に高い評価を受けています。
ハカに対する敬意
ロケを通じてハリウッドのスターたちと過ごしたイニア・マクスウェル氏は、イーストウッド監督を「本物の紳士」と表現しています。
監督と制作に励み、選手役の15人の俳優を相手にハカを指導した経験は、同氏にとって「素晴らしく、敬虔な気持ち」になるものだったということです。ハカはマオリに伝わる伝統儀式に由来するもので、戦いの前に敵陣を威嚇するために行われていました。
「キャストとして本物のラグビー選手が集められていて、見た目も1995年のチームにそっくりでした。動作の意味はもちろん、ハカの表現と歴史をしっかりと理解してもらいたいと思いました」
「彼らの熱意は素晴らしく、こちらが敬虔な気持ちにさせられるほどでした。ハカとオールブラックスは、あちらでも尊敬の対象となっているのですね」
ハカの指導
ハカの指導を受けたのは、オールブラックスの選手を演じる俳優のみでしたが、競技場のセットでハカの演技が始まると、他にもたくさんの映画関係者がハカを習いたいと願い出てきました。
「ハカがこれほど注目を集めるとは意外でした。モーガン・フリーマンも、自分の出番がなくても見に来てましたね」
「才能ある俳優の皆さんと一緒に取り組めたことは素晴らしい経験でした」と語るマクスウェル氏。ハカのシーンでは現場で様々な提案をしましたが、イーストウッド監督も喜んで聞いてくれたということです。
「彼の眼差しは敬意に満ちていました」「完璧にやり遂げなければ、と思いました。とても大事な場面ですからね。当時のオールブラックスには見るからに恐ろしげな印象を与えていました。一挙一動があるべき姿になるよう、徹底的な指導をすることが重要でした」
「選手役の俳優たちは、少しずつこなしていくうちに、夢中になっていきました。見る者を震撼させるこの踊りは、歴代の選手たちが目のあたりにしてきたものですが、彼らがそれを習う機会を得たことに喜びを感じる人たちでよかったと思いました」
マオリの伝統芸能、ハカについて
ハカは多人数のグループで行われるマオリの伝統的な踊りの一種です。
ハカは多人数のグループで行われるマオリの伝統的な踊りの一種です。
ハカが有名になったのは、ラグビーの試合前にニュージーランド代表のオールブラックスが敵陣を前に披露するようになってからですが、ハカには様々な種類があり、中には女性がパフォーマンスを行うものもあります。
マオリの人々にとってのハカは、情熱と威勢、独自の文化のアイデンティティを表現する、深い意味を持つ伝統芸能です。かけ声と動作の複雑な組み合わせで、魂を伝えるものと言ってもよいでしょう。
ハカの師匠として高名なナティ・ポロウ族のヘナレ・テオワイ氏は、ハカは全身で語るものだと述べています。手、足、胴体、声、舌、目など、あらゆる部位や機能を総動員して、威嚇や歓迎、歓喜、抵抗、屈辱などを表すのです。
ハカが始まる前にリーダーは、猛々しく、一音ずつ明確にかけ声を発します。この呼びかけを聞きながら、ひとりひとりがこれから行おうとするハカに向けての意気込みを確認し、迫力ある表現ができるよう気合いを入れます。ハカでは以下のような動作が必ず使われています。
ハカでは以下のような動作が必ず使われています。
- pukana / dilating of the eyes
- whetero / protruding of the tongue performed by men only
- ngangahu / similar to pukana, performed by both sexes
- potete / the closing of the eyes at different points in the dance, performed by the women only.
- プカナ/目を大きく見開く
- フェテロ/舌を大きく突き出す(男性のみ)
- ンナガフ/プカナに似た目の動き(男女とも)
- ポテテ/目を閉じる(女性のみ)
それぞれの動作には、言葉にニュアンスを加えたり、言葉を強調したりといった表現効果があります。
通常ハカで全員が全く同じ動きをすることはありません。全体にみなぎるエネルギーをひとりひとりが感じ取り、自分なりの解釈をして表現に反映することで、より優れたハカになるのです。
詳しい情報:
オールブラックス、ハカの歴史
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