クジラの迫力、エコの民【カイコウラ】 |
旅に出かけて、その土地の文化や歴史を教えられると、ひと味違った楽しさを思う。南島の太平洋側にあるカイコウラでホエールウオッチを体験したときも、そうだった。先住民のマオリが営むエコツアーの一つで、自然環境を大事にしてきた人たちの奥深さを知り、それにとどまらないことまで教わった。 |
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ここの海は陸地から急激に深くなっているため、豊かな有機物を含んだ土壌が流れ込みやすい。沖合では北の暖流と南の寒流が合流しており、大量のプランクトンが発生しやすい海なのだ。 「だから、小魚が多く、それを食べるイカも多い。それを追ってクジラが定住するという食物連鎖が生じています」と、船内のガイド役が画面を使って解説してくれる。伊勢エビも多く、マオリ語でカイ(食べ物)、コウラ(エビ)が地名のカイコウラになった。クジラに出合う前から楽しく勉強できるツアーだ。 |
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間近に見て感じたのは大きさだけでなく、そのゆったりさがもたらす貫禄だった。潮を噴出す鼻の穴は、頭の中央ではなく、少し左にずれた場所にある。ブオーッと吹き出される潮の噴水は、だから、真上にではなく、やや斜め左側に向かって飛ぶ。20秒とか30秒とか、間隔を置いて、ブオーッとやる。そのたびに、船上の観光客はウオーッと歓声をあげる 。 |
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なぜ分かるのか。後で聞いたら、「潜る直前、酸素を大きく吸い込むので、背中の筋肉が伸び、引き絞られるように縮む。それを見ていれば分かるのさ」と教えてくれた。クジラの習性をよく知っているのだ。生態を見せるというエコツアーの意味を実感した。 「あれはティアキ」。次に出合うと「これはリトルニック」。クジラの一頭ごとに名前をつけている。体の白い斑点や尾ひれの形で区別がつくという。「クジラは仲間なんだ」と船員が言った。出航は日に四回まで、船のトイレはタンク式、推進装置は水を吹き出すタイプで騒音が少ない、など工夫がたくさんあった。 |
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都会に移住するか、地元で新たな仕事を見出すか。悩んだあげく1987年、借金をして購入した小さなボート1隻で始めたのがホエールウオッチだった。ほぼ間違いなくクジラに出合えるという評判が伝わり、また、アウトドアの体験型観光が求められる時代の追い風も受けて急成長した。イルカと泳いだり、森を歩いたり、自然を生かしたツアーも盛んになっていった。 |
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ニュージーランド固有の樹木の苗木を観光客に買ってもらって町の高台に植林する「旅人の木」というユニークな試みも順調に伸びている。環境改善を目指す国際的な認証制度「グリーングローブ」にもニュージーランドで初めて地域として参加し、その基準達成を2004年に果たしている。空からクジラを見せる地域航空会社、ワイン用のぶどう畑に有機肥料を多用するワイナリーなど地元企業も参加するようになり、認証獲得を目指している。地域あげて観光と環境の両立を目指す町だと知って歩いてみると、見える景色も少し変わるかもしれない。 |
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ライターの独り言
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