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屋久島「縄文杉」とワイポウア「タネ・マフタ」が姉妹木関係を締結

 

ワイポウア森林保護区のカウリの木「タネ・マフタ」と屋久島の「縄文杉」が、4月23日に姉妹木関係を結びました。2本の巨木にまつわる歴史をひもとくと、多くの類似点があることに気づかされます。


 
 

 
 

タネ・マフタ、縄文杉、2本の巨木がもたらす新しい交流

北島北部のノースランド地方に位置する「ワイポウア森林保護区」。通称「ワイポウアの森」と呼ばれるこの地区には、ニュージーランド最大の木とされるカウリの巨木「タネ・マフタ」(マオリ語で「森の神」の意味)が生息しています。

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マオリの伝統式な挨拶ホンギ
4月23日、この「タネ・マフタ」の前で、「Family of Ancient Trees -古代木ファミリー」プロジェクトのスタートを記念する式典が行われました。このプロジェクトは、世界に約60本あると言われる、歴史・文化的に意味のある巨木や古代木が姉妹木関係を構築することで、その木が根ざす国や地域同士の文化理解と自然環境保全の意識向上を目指すものです。そしてプロジェクトの第一弾として、屋久島の「縄文杉」と「タネ・マフタ」が世界初の姉妹木関係を締結し、その調印式も行われました。

マオリ伝統の歓迎の儀式で始まった式典および調印式には、屋久島町町長の日高十七郎(となお)氏、ファーノース地区市長のウェイン・ブラウン氏、ワイポウアの森を昔から守ってきた地元マオリ「テ・ロロア族」の長老、アレックス・ネイサン氏、カイパラ地区市長のニール・ティラー氏、ニュージーランド政府観光局CEOのジョージ・ヒクトン、日本局長のジェイソン・ヒルらが参加。調印式では、屋久島町長とファーノース地区市長、テ・ロロア族代表者、カイパラ地区市長との間で署名が交わされ、お互いの署名が入った文書を飾る額として、屋久杉で作られた額とカウリで作られた額が交換されました。また式典後は、自然保全活動家のスティーブン・キング氏と参列者らによるカウリの苗木の植樹も行われました。
 
 

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ワイポウア・カウリ森林保護区 ニュージーランドに数あるカウリの森のなかでも、ワイポウア・カウリ森林保護区ほど有名なものはありません。国内最大のカウリの木、タネ・マフタの樹齢はおよそ1200年にもなり、その風貌は屋久杉を彷彿させます。


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©: Mitsuro Aoyagi


 
 
 
 

2本の木を結びつけた「古代木ファミリー・プロジェクト」とは?

遠く離れた2本の巨木は、どうして姉妹木関係を結ぶことになったのでしょうか。
話は3年前の2006年にさかのぼります。この年、屋久島とワイポウアの森の類似性に気づいたニュージーランド政府観光局の発案により、ワイポウアの森の先住民マオリのシェーン・ロイド氏、コロ・カーマン氏が屋久島を訪問しました。屋久島の森を歩き、地元の人々と交流した彼らもまた、2つの森に共通点が多いことを見出します。その後は公式、非公式を問わず、毎年双方の人が行き交うようになり、ますます2つの森の類似性が認識されるようになりました。そこで、この関係をよい方向に進展させるため、「古代木ファミリー・プロジェクト」をスタートさせることになったのです。

プロジェクトの主な目的は下記の通り。今後は古代木のネットワークを広げるべく他の地域の巨木・古代木との関係構築も目指すことになります。

「古代木ファミリー・プロジェクト」の目的

  • 自然環境保全の重要性の認識向上
  • 観光と環境の共存
  • 文化・学生・ガイドの交流促進
  • 博物館の交流

 
 
 

データで見る2つの巨木

縄文杉 - click for more.
縄文杉
縄文杉(屋久杉)

所在: 鹿児島県屋久島町 大株歩道沿い(世界自然遺産地域・国立公園特別保護地区、森林生態系保護地域)
樹高: 25.3m
胸高周囲: 16.4m
推定樹齢: 2170年以上

  • 現在、確認されている中で最大の屋久杉。背が低くずんぐりした樹形は、台風が多い地域に育つ屋久杉の特徴を表しています。幹に凹凸が多く、加工に向かないことから伐採されずに済んだと言われていますが、内部は空洞化しており、正確な樹齢は不明です。
  • 一般に杉の寿命は300~500年ですが、屋久島の地質は花崗岩で栄養が少ないことから成長が遅く、硬い材質に育つとされています。ちなみに屋久島で「屋久杉」と呼ばれるのは樹齢1000年以上のもののみ。それ以下は「小杉」、植林されたものは「地杉」と呼ばれています。

 
 
 

  タネ・マフタ - click for more.
森の神「タネ・マフタ」
タネ・マフタ(カウリ)

所在: ニュージーランド北島北部、ファーノース地区&カイパラ地区にまたがるワイポウア森林保護区内。
樹高: 51m
胸高周囲: 13.8m
樹齢: 1200~2500年

  • 現存する中で国内最大のカウリの木。ナンヨウスギ科に属する針葉樹で、成長は非常に遅いものの1000年以上の歳月をかけて、樹高30~50mま で成長します。また、樹高を伸ばすために、下の枝を自ら落とす習性があります。さらに虫や鳥に幹を傷められないよう、木の皮を鱗のように落とす特徴もあり ます。
  • 生息地は北島北部。かつてはワイカト地方、ベイ・オブ・プレンティ地方、オークランド地方からファーノース地方にかけてカウリの森が覆っていたと言われています。

 
 
 

森を見守る神の木として

ワイポウア森林保護区のカウリ - click for more.
マオリの伝説によると、昔あるクジラがカウリに海での暮らしをすすめたそうです。
マオリにも日本にも、この世に存在するものには精霊や聖なる力が宿ると考える文化があります。そして、このたび家族となった「縄文杉」と「タネ・マフタ」は、ともに神が宿る木として地元の人に愛されてきました。「縄文杉」が発見されたのは今から約40年前のことですが、屋久杉は屋久島の島民に「神の木」として崇められてきた樹木であり、江戸時代に貧困に陥った島民を救う最後の手段として伐採が許可されるようになるまで、屋久杉が伐採されることはなかったといいます。

一方、「タネ・マフタ」はマオリの人々にとっての「森の神」です。マオリの神話では、「タネ・マフタ」は天地を創造し、世界に光をもたらした存在として語られています。しかし、カウリにも受難の時代がありました。18世紀後半には、ヨーロッパからの入植者によってカウリの伐採が始まります。堅くまっすぐで巨大なカウリの幹は、造船や建築用資材として重宝され、地元経済を支える貴重な資源として各地に輸送されていきました。その後100年以上に渡って伐採は続き、19世紀の間にカウリの森の4分の3が消失したと言われています。人々が森を保護する必要性に気づき、ワイポウアの森が森林保護区に指定されたのは1952年のこと。材木の運搬が難しい場所だったゆえに、ほぼ手付かずの状態で森が残っていたことは、運が良かったと言うしかありません。

「縄文杉」も「タネ・マフタ」も伐採の危機を乗り越えて、保護の対象となりました。今では、どちらの木も地元の観光の目玉であり、人々に環境について考えさせる大切な存在となっています。
 
 
 

タネ・マフタを訪ねてみよう

  タネ・マフタ 空と大地の息子 - click for more.
このカウリの巨木は、マオリの森と鳥の神タネ・マフタにちなんで名付けられました。
ワイポウア森林保護区は、北島北部の西海岸側に位置しており、オークランドから車で約3時間半の距離です。道中の町マタコヘでは、ぜひ「カウリ博物館」に立ち寄ってみてください。カウリがたどってきた歴史とカウリに関わった人たちの生活、カウリの特性などが展示されています。

「タネ・マフタ」は、国道12号線沿いの駐車場から徒歩5分の場所で見られます。森の小道を歩き、木陰からその姿を目にした瞬間、マオリの人々がこの木を「森の神」と名づけたことに誰もが納得することでしょう。天から森を見守るようなその雄姿、大きな幹から発せられる神々しいオーラに圧倒されてしまいます。

ワイポウアの森にはハイキングコースもあり、「テ・マトゥア・ナヘレ(森の父)」と呼ばれる国内最長寿のカウリや、直接幹に触れることのできる「ヤカス」、4つの幹が寄り添うように伸びる「フォーシスターズ」など、様々なカウリの名木と出会えます。森は入場無料で自由に入れますが、ガイド・ツアーに参加すればカウリやマオリ文化についての知識も深まります。特に夜の森を訪れるツアーは、森の神秘を感じられると評判です。ぜひ「タネ・マフタ」と向き合い、マオリの人々が大切に守り続けてきた聖なる巨木のパワーを感じてみてください

 
 
 


姉妹木関係及び式典に関するプレスリリース[日本語]