マオリ文化
およそ800〜1300年ごろに南太平洋の小さな楽園、アオテアロア(ニュージーランド)を発見し、住み着いた先住民族マオリの人々。彼らの生まれ故郷である伝説の島、ハワイキが現在のどの地域に当たるかについては諸説ありますが、一般的にはハワイアンやタヒチアン、サモアンなどと同様、ポリネシアにルーツを持つ民族であるといわれています。現在、マオリの血を引く人々はニュージーランド総人口の約15%を占めています。
元来マオリは部族によって構成される民族であり、全国には独自の慣習を持つ個性豊かな部族が数多く存在しています。これらのグループは、共通の祖先や関連した系図をもとに定められたもので、すべてのマオリはそれぞれのファナウ(家族)に属し、ファナウはいずれかのハプ(準部族)に、ハプはイウィ(部族)に、そして最終的には新天地を目指してハワイキを発った数隻のカヌーのどれかにたどり着くといわれています。
マオリ文化は、音楽、彫刻、芸術、伝説やファカパパ(家系)を通じ、世代から世代へと伝えられてきました。マオリ・アートは、マラエ(集会場)の彫刻や内装のデザインなどに、力強くそして美しく表現されています。ペンダントをはじめとするタオンガ(宝物)には、木、骨、ポウナム(グリーンストーンまたは翡翠)を用いて制作された、装飾的なファカイロ(彫刻作品)が見られます。
彫刻と編物は、マオリの伝統的なライフスタイルの中で、実用的な技術として生まれたものです。衣服やロープに用いられた繊維は、亜麻などの自然繊維を紡ぐことによって作られました。硬いポウナムは本来、装飾品よりも、武器や彫刻の道具として加工されていました。木材に彫刻が施され、精神が込められた聖なる作品が生み出されると、それらはファレヌイ(マラエの中心に位置する大きな建物)やワカ(カヌー)といったマオリの生活にかかせない重要な場所を飾りました。
現在、このような伝統的なマオリ・アートは、実用を目的とはせず、純粋な芸術作品として創作されています。それらの作品は芸術界でも高く評価され、人気を呼んでいます。
マオリ語の「トイ」という言葉の本来の意味は、知識や起源、大地・水・空気、または、全般的な芸術を指しますが、「トイ・マオリ」というように使用された場合は、マオリの芸術家が携わる幅広い範囲のあらゆる創作活動を意味します。具体的には、ファカイロ(彫刻)、コファイファイ(垂木模様)、ラランガ(編物)、トゥクトゥク(格子細工)、タ・モコ(入れ墨)、ワイアタ(歌謡)、ハカ(戦いの前の踊り)、タオンガ・プオロ(伝統楽器)、カランガ(伝統的な歓迎の発声)、ファイコレロ(演説)、マウ・ラカウ(武器製作)といった伝統的芸術を指しています。それだけではなく、執筆活動や演劇演出、現代舞踊、映画、ビジュアル・アート、陶磁器、彫像など現代のマオリ芸術家が携わる、あらゆる芸術分野も含んでいます。
こちらの関連トピックスもご覧ください
|