タネ・マフタ - 天と地を隔てた者
マオリの創世記では、この世は何もない虚空「テ・コレ」から始まりました。テ・コレはやがて「テ・ポウ」に変わりました。テ・ポウは永遠に続く闇夜でした。ランギヌイ(空の父)とパパトゥアヌク(大地の母)の2人の神から生まれた子どもたちは2人の間に挟まれ、闇の中で身動きもままならない状態でした。
ランギヌイとパパトゥアヌクは深い愛情で結ばれており、硬く抱き合ったまま片時も離れることができませんでした。2人の間に挟まれた6人の子どもたちは、暗闇の中に横たわっているよりほかなかったのです。
ある日、ランギヌイがパパトゥアヌクの上で動いたところ、パパトゥアヌクの脇から子どもたちの上に一筋の光が差し込んできました。子どもたちはその輝きに驚き、この暗闇を脱し、光の世界へ出て行きたいという欲望を持つようになりました。
子どもたちは、この世をずっと闇に包んできた2人の神である両親の抱擁を解き放とうとしますが、2人の愛情は非常に強く、どの試みも全て失敗に終わりました。
皆があきらめかけたそのとき、巨大な森の神タネ・マフタが仰向けに寝そべり、自分の肩を母なる大地の中へ深く押し込み、両足で空の父を押し上げました。タネはこの世に光をもたらそうと奮闘しました。
タネは母親がやめるように泣くのも聞かず、さらに強く父親を押し上げました。硬く抱き合っていた2人の神もついに離れるときがきました。タネは最後に残っていた力を振り絞り、力強い足を精一杯伸ばし、ランギヌイを天上へ押しやり、世界にあふれんばかりの明るい光をもたらしました。
今日ではランギヌイの涙が空から雨となって愛するパパトゥアヌクに降り注ぎます。それはランギヌイの悲しみとパパトゥアヌクを恋しく思う気持ちの表れなのです。パパトゥアヌクの痛みは赤い土を見れば分かります。2人が離れたときに流れた血で今も染まっているのです。
しかしこの伝説の主役は間違いなく子どもの一人タネ・マフタでしょう。タネ・マフタは今もワイポウアの森で誇らしげに立っており、肩は母親である大地に深々と埋まり、両足は父親である大空に向かって伸びています。
タネ・マフタは世界最大規模の樹で高さ51m、太さは直径13.8mです。ニュージーランドのカウリの樹の3分の1が植生するワイポウアの森にあります。
ワイポウアの森は北島北部の西海岸ホキアンガに位置しています。タネ・マフタまでは国道12号線沿いのワイポウア・フォレスト駐車場から徒歩わずかです。
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