世界天文年でニュージーランドが注目の的に
世界天文年となる2009年、天体観測を目的にニュージーランドを訪れる観光客の増加が予想されています。
ここ数年の間、ニュージーランドは星空を世界遺産にするという世界で初めての試みに取り組んできました。これまでの経過は順調で、正式に登録が決定すれば、マオリの新年にあたるマタリキ(夜空に昴が出現する頃)にあわせて盛大なイベントが開かれることになります。
星空を世界遺産に
ユネスコの世界遺産に対しニュージーランドの関係者が登録の申請をしているのは、南島のアオラキ・マウントクック国立公園やテカポ湖を含むマッケンジー地方の空です。
世界遺産は地球上のあらゆる自然遺産、文化遺産を人類共有の宝とする有名な制度ですが、通常は公園や湖、記念碑、都市、建造物などが対象となっています。
空の特定の部分を登録するという前例はないため、この計画は世界的にも注目を集めています。
満天の星空
世界遺産登録の申請にあたって、マッケンジー地方の夜空は、人工的な光や工場の排煙、飛行機雲などの影響を受けることなく、本来の星空がそのまま見られる地球上でも数少ない貴重なものであると主張されています。
登録が決定すれば、周囲一帯の光源の制御も容易になり、完璧な夜空を保護することができると期待されています。
ユネスコも支持
前例のない星空の登録を目指して発足したスターライト・リザーブ(仮名)設立委員会がユネスコに初めて申し入れをしたのは、2007年のことでした。その年、ユネスコとスペイン政府の主催で夜空に関する国際会議があり、その際に提案が行われたのです。結果、異論なしの全面的支持を得ることができました。
同年クライストチャーチで開かれた世界遺産委員会においてもプレゼンテーションに対する評価は非常に好意的でした。
計画通りに進めば、世界天文年ともなる2009年の初め頃には正式に決定するはずです。
マウント・ジョン天文台を救え
世界遺産登録を具体的な目標とする契機になったのは、2001年、ニュージーランドの天文学研究の要所であるマウント・ジョン天文台が、観測環境が光による障害を受けていると警告を発したことです。
その内容は、テカポ湖畔は小規模ながら観光地化が進み、住居や街灯も増加の一途をたどっているため、放置すれば2011年には天文台が閉鎖に追い込まれるであろう、という危機感漂うものでした。
このような光害は世界的な問題として急速に懸念が広まっています。そんな中、環境保全活動を通じて、貴重な夜空を守るには空の自然公園が必要だという発想が生まれたのです。
光源の制限
マッケンジー地方では既に条例により光害防止のための規制が定められており、照明は光が下へ向かうように設置しなければならない、とされています。
地域の環境資源管理当局では、負荷の少ないナトリウム灯や紫外線を除去するタイプの電灯の使用を奨励しています。また、日没から午後11時までの時間帯に光を空に漏らさないための制限も導入されています。
このような法的環境の整備も進んでいることから、スターライト・リザーブの関係者は、ニュージーランドをはじめ世界各国に先立つ例として、ユネスコにとっても意義ある候補になっていると考えています。
学術的価値
マッケンジー地方の空は学術研究においても非常に価値ある存在です。晴天の日が多く、透明度の高いきれいな大気に恵まれていること、そして明暗がはっきりしていることから、マウント・ジョン天文台はニュージーランドでも最も天文観測に適した立地にあると言われています。
南天の観測では世界的にも有名なこの天文台は、カンタベリー大学(国立)の物理天文学部が運営しています。標高の高い場所にあり、通年安定した環境で観測できることもよく知られています。
夜空を望む
カンタベリー大学は主に4つの望遠鏡を使って国内外の天文学者や物理学者と共同研究を行っています。
マウント・ジョンで一番大きな望遠鏡は学術研究専用の高性能のもので、一晩に最高で5000万個の星を観測することができます。
天体観測ツアー
アース&スカイ社のグラアム・マリイ氏はマウント・ジョン天文台の見学ツアーを催行する一方で、世界遺産登録に向けて積極的に活動に参加しています。
天体観測を楽しめるツアーには、世界各国から関心が寄せられているということです。
「先日、日本で行われた調査によると、ニュージーランドに行く主な目的として、72%もの人が星空を見ることを挙げています」
「レイク・テカポには国内外から年間150万人の観光客が訪れます。誰もが美しい風景に目を奪われますが、ぜひ空も見上げていただきたいのです。現実にはあまりにも簡単に失われたり、軽視されたりしがちですが、澄み切った夜空は我々人類の宝です」とマリイ氏は語っています。
ニュージーランドにおける世界天文年
ユネスコのニュージーランド委員長の経歴を有するマーガレット・オースティン氏は、スターライト・リザーブ本登録に期待の高まる2009年世界天文年会議に出席するため、パリに向かうことになっています。
一方、ニュージーランド国内では、天文関連の様々なイベントが企画されています。特にマオリの正月にあたるマタリキの時期には、全国各地で音楽の演奏やダンス、ワークショップ、講習会などが多数行われます。
マタリキはマオリ語で「小さな目」あるいは「神の目」を意味する言葉ですが、日本では昴とも呼ばれるプレイアデス星団を指しています。マオリの人々には古来、昴が夜空に現れると、収穫の終わりを祝い、次の年のために土地を耕し、家族や親しい人との絆を確かめつつ新たな一年を迎える慣わしがありました。
マタリキの時期は、南天の星空を観察するだけでなく、マオリの文化も体験できる、旅行者にとって魅力的な機会となることでしょう。
詳細の問合せ先:
Matariki rising
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