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草の根ラグビーから頂点オールブラックスへ
オールブラックスの選手に、なぜニュージーランドは優秀なラグビー選手を生み出してきたかを問いかけると、必ず共通したひとつの答えが返ってきます。
オールブラックスの元キャプテン、アントン・オリバーは「ニュージーランド人のアイデンティティとして、生まれながらに備わっている強靭な精神」と述べています。
ニュージーランドは比較的歴史の浅い、異なる2つの文化が融合した国です。ヨーロッパ人は何もない土地に入植し、開拓し、すべてを自分たちの手で成し遂げてきました。数々の戦争でも、常に困難な状況に果敢に立ち向かってきました。このような国民のアイデンティティ形成とラグビーは密接に関わっています。
オリバーはこうも続けます。「強く逞しくあることは私たちのアイデンティティの大部分に根付いている要素であり、その強靭な精神がスポーツにも受け継がれているのです」。
パケハ(ヨーロッパ人)と先住民マオリの人々が、両文化を融合させ、ニュージーランド独自のラグビーを形成してきました。ニュージーランド文化の中で、ラグビーほど重要な位置を占めているスポーツはほかにありません。
ダグ・ハウレットはこう語っています。「試合のために訪れる国々、例えばヨーロッパへ行けば、子供たちはサッカーボールを蹴りながら育っています。ニュージーランドなら、これがラグビーボールにとってかわり、裏庭で校庭で子供たちはボールを蹴って育つのです」。
ニュージーランドのラグビー人口は、男女、子供合わせて14万1000人にのぼります。そのうち、6万7000人は13歳以下です。
スポーツのひとつとして全国の学校ではラグビーをプレーしています。中・高校になり、フィフティーン(学校代表チームの15名)に選ばれると国際試合に出場することになります。
学校のチーム以外には、地域ごとに結成されているクラブチームがあります。「誰もがラグビーについて知っているし、規模は大なり小なりさまざまですが、どこのコミュニティにもラグビークラブがあります」と同じくオールブラックス元キャプテン、ルーベン・ソーンは述べています。
エア・ニュージーランド・カップは地域を代表する、上位14チームが争う大会です。それに続くハートランド・チャンピオンシップは、14チームに選抜されない二部リーグの大会です。
「ニュージーランドは小さな国なので、他の国と比べると、他の地方へのアクセスが簡単で、交流も盛んです。全国代表のチームでもお互いのことが分かっているので、結束しやすいのです」とバイロン・ケラハーは語っています。
ラグビーではオールブラックス以外のチームも、国際舞台で活躍しています。ブラック・ファーンズは女性の代表チームです。ワールドカップでは、2006年の勝利を含め、3回連続優勝を達成しています。
7人制ラグビーのセズンズは、2000年に世界大会が開かれてから、8回のうち7回までを優勝で飾っています。コモンウェルス・ゲームズ(英連邦に属する国や地域が集まる総合競技大会)でセブンズは3つすべての金メダルを獲得しています。
2007年4月、ベルファストで開催された19歳以下のU19世界選手権でニュージーランドは南アフリカを退け、勝利しました。6月には、オールブラックスに次ぐ代表チーム、ジュニア・オールブラックスは、東京で開催されたパシフィック・ネーションズ・カップで、他チームを寄せ付けない圧倒的な強さでカップを獲得しました。ジュニア・オールブラックスは、ニュージーランドの選手層が厚いことを見せつけました。彼らは次の目標、オールブラックス入りを目指して奮闘しています。
マオリラグビーのルーツは、1888年のニュージーランド先住民チームにまでさかのぼります。マオリの血をひく選手は、今日も最前線で活躍しています。全人口の14%を占めるマオリは、ラグビーがプロ化した1996年以来、契約選手140名のうちの30~35%を占めています。ニュージーランド・マオリ・フィフティーン(マオリ代表チーム)は世界の強豪チームと試合をしたり、海外遠征にも出かけています。
スター選手として名を馳せた選手の中には、海外チームとプロ契約し、プレーを続けている選手もいます。元オールブラックスのカルロス・スペンサーやジャスティン・マーシャルはイギリスで、アンドリュー・マーテンス、タナ・ウマガ、キース・ミューズ、カール・ホフトはフランスで活躍しています。
ワールドカップの日本代表チームには4名、イタリアチームには2名のニュージーランド人選手がいます。どこのチームに所属しようと、キーウィ(ニュージーランド人)ならオールブラックスの一員になりたいという夢は共通しているはずです。
ニーミア・ティアラタはこう語っています。「小さな頃から接しているという点では、ラグビーは宗教のようなものだと思います。兄弟やいとこ、親戚のおじさん達もラグビーをやっている中で育ち、テレビをつければラグビー放送で、そんな環境で育てば、いいラグビー選手になりたいと思うようになるでしょう。」
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