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ニュージーランドの草の根ラグビー

ニュージーランドの人々がラグビーにかける情熱は、草の根レベルから育まれています。

その根の深さは、胸にシルバーファーンの輝く黒いジャージを着て参戦する赤ん坊は数知れず、歩き始めれば言葉を操るよりもボールを蹴ることを先に覚える、と言われるほどです。

実際、その通りに生後間もない頃から国技と関わってきた人々はたくさんいます。この事実こそがニュージーランド人がラグビーと切っても切れない関係にあること、さらには、その関係が維持されているかどうかが国の健全さを示すある種のバロメーターとなっていることを物語っています。

ラグビーはお国柄
ニュージーランド人の歴史とともに歩んできたこのスポーツは、国民性を語る上で欠かすことのできない重要な存在となっています。イギリスから伝わって全国各地の小規模な地域社会に浸透するまで、さほど時間はかかりませんでした。

元オールブラックスのジョン・カーワン氏は、ニュージーランドがイギリスの支配から独立し、新興国として形成される過程において、ラグビーはニュージーランドらしさを表すものになっていったのだと考えています。

「ニュージーランドでラグビーの選手やサポーターが続々と生まれるのは、ラグビーが我々の伝統の一部だからです。イギリスから離れて以来、ニュージーランド人は自らの国民性を模索してきました。そんな中でラグビーはしっかりと根付いたのです」

初期のオールブラックス
当初は海外遠征や国際試合がある時に、全国各地の多数のクラブからメンバーを集めてチームを結成していました。これが後のオールブラックスとなります。

外国の代表チームがニュージーランドにやってくると、一部の大都市に留まらず、様々な地域の競技場を巡回しながら国際試合が行われました。

そうして、ラグビー場とラグビークラブは、地方や地域社会で中心的な役割を担うようになっていったのです。

学校で、クラブで
今日のラグビーは、観客数でも試合数でもニュージーランドでトップのスポーツです。地域のクラブでラグビーを楽しむ人々もさらに増加しています。

毎週土曜日になると津々浦々の学校やクラブが対抗試合を行うのですが、大小のチームすべてを合計すると、1日で14万5472人の選手がラグビー場を駆けていることになります。

ラグビー場といっても、トップクラスの選手達が伝説に残る試合を繰り返してきたような栄えある競技場から、農場の一画とさほど変わらないようなものまで、実に様々です。

オールブラックスに属する選手は国民のヒーローであり、国際的にも有名ですが、そんな選手たちも最初は小学校の校庭や裏庭でラグビーを始めたのです。

オールブラックスの選手たちは全国代表として活躍するだけでなく、地方の所属チームでもプレイを続け、地域とのつながりを大切にしています。

地域ぐるみでラグビー
地域のチームは主にボランティアのネットワークで支えられています。学校のチームも通常、教師や保護者の有志がコーチを務めます。

寒い冬の土曜日の朝、ベッドから這い出した子どもたちは、部屋を引っ掻き回して用具一式を揃え、できたての朝ご飯を食べたあと、誇らしげな両親と一緒に近所のラグビー場へ向かいます。試合は見守る親も真剣勝負・・・毎週繰り返されるこのような光景は、実にニュージーランドらしいものです。

小さな町のラグビークラブは地域社会の中心的な存在であり、施設はしばしば公民館のような役割を果たしています。

選手層はさらに厚く
ニュージーランド・ラグビー協会(NZRU)によると、2009年のラグビー人口は前年比4%増だということです。

同協会のもとには26の地域別の協会があり、昨年度より5193人多い14万5472人がメンバー登録をしています。

特に増加が顕著なのは、13才以下のグループ(6%増)です。NZRUコミュニティ・ラグビーのジェネラル・マネージャー、ブレント・アンダーソン氏は、この集計結果は地域レベルのラグビーが今後も重要な位置を占めることを示すとして好意的に受け止めています。

NZRUはスモール・ブラックスやコンタクトなしにプレイできるリッパ・ラグビーといった小学生向けプログラムを導入し、初心者にも親しみやすいラグビーを推進してきました。これにより、ジュニア層では近年で17%と大幅に参加者が増加しました。

調査の結果、13才から20才までの年齢層では1%と漸減が見られましたが、この世代でスポーツをやめるのは週末のアルバイトが主な理由となっています。

ラグビーの変遷
時代に合った変化を求められるのは、ラグビーも同じです。NZRUは、社会経済や人口構造の変遷に応じる取り組みを進めています。

例えば、オークランドのようにアジア系の移民が増えている地域では、ラグビーの経験のない人々をどう取り込むかが課題となっています。

「我々はラグビーをより魅力的なゲームにし、これまで縁のなかった人々とも新たな関係を築いていかなければなりません」とアンダーソン氏は語っています。

一部の地域では、時間的制約のある選手に合わせた試みも始まっています。マナワツ地方のマッセイ大学では、夕刻に10人チーム対抗の試合が行われています。ワンガヌイでは週末に都合のつかない選手のために、ファーストXVやU19の試合を平日の夜に設定することもあります。

また、土曜日の午後に多数のラグビー場に分かれてプレイするかわりに、平日に毎晩同一の競技場を使用できるよう、人工芝の導入を検討している地域もあります。

NZRUのコミュニティ・プラン
NZRUではニュージーランド社会を織りなす一要素としてラグビーを位置づけ、今後も地域社会に根ざしたラグビーを維持していく方針です。

アンダーソン氏は、「ニュージーランドの人々にはラグビーを愛し、情熱を感じながら成長してもらいたいと願っています。それには各自が実際に関与することが一番なのです」と語っています。

地域によっては、スポーツ活動のための資金調達にも若い人々が関われるよう、イニシアチブをとっているケースもあります。

タラナキもまたラグビーの盛んな地方ですが、地域担当の協会では、資金援助のために農場を運営しています。

この酪農用のマナイア農場は170ヘクタールをリース契約したもので、この3年半ほどの間、地域住民の協力を得て資金を集めてきました。

農場は、地元の農場主が構成するアドバイザリー・グループや農業コンサルタント、牧畜エージェントによる監督のもとに運営されており、若いラグビー選手に対する雇用機会の提供にもつながっています。

テレビでも草の根ラグビー
ニュージーランドには草の根ラグビー専門のテレビ番組もあります。プロデューサーのグレイム・ヴィーチ氏は、ラグビー国家の基礎をなしているのは全国各地のクラブであり、クラブがそれぞれの地域で中心的な役割を担っていることを指摘しています。

「頂点で活躍している選手たちも、いつか、どこかで第一歩を踏み出したのです。そこから選手として、人間として成長していく過程では、地域のラグビークラブが非常に重要な役割を果たしています」

「老いも若きも、男性も女性も、何千人という人々が寒い冬の夜にトレーニングに参加し、週末は全国各地で試合に臨んでクラブの威信と伝統をかけて戦っているのです。その努力の積み重ねが賞賛に値することは、誰もが認めています」

ヴィーチ氏は、勝敗の結果やオールブラックスに入れるかどうかは問題ではなく「いい試合ができるかどうか」が大切なのだともコメントしています。

専門番組グラスルーツ・ラグビーはクラブのシーズン中21週間放映されています。

ニュージーランドの国技
ニュージーランド初のラグビーの試合は、1870年5月14日に行われたネルソン・カレッジ対ネルソン・フットボール・クラブ戦でした。今日のラグビーはいわば国技であり、ラグビーなしにこの国の文化やアイデンティティを語ることはできません。

世界最強チームとして恐れられている、ニュージーランド代表オールブラックス。その世界の舞台における成功を支えているのは、学校やクラブ、26地域の代表チームといった、草の根ラグビーなのです。


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ラグビーには200年近い歴史があります。きっかけはある少年がフットボールの試合中にボールを抱えて走り出したことでした。