ニュージーランド人女性で初の南極点到達
2010年1月7日
50日間に及ぶ大冒険を成功に終わらせたニュージーランド人女性が帰国を来週に控え、延期になっていたクリスマスのごちそうと夏の太陽を心待ちにしています。
この女性は南島トワイゼル出身のカイリー・ウェイクリン氏(36)。年末にスキーで南極点に到達した7名の女性チームの一員です。
一行はコモンウェルス60周年と世界中の女性の活躍を称える記念企画として、地球上でも最も過酷な環境の中、900km近くもの行程を踏破しました。
大半の女性がそれぞれの国の歴史に記録を刻んだわけですが、中には、出身国で初めての南極点到達者となったメンバーもいました。カスペルスキー・コモンウェルス南極遠征団の旗を南極点に立てたチーム全員が無上の喜びを分かち合いました。
健康状態も良好に無事完遂
ウェイクリン氏を含む女性のみのチームは、食料、燃料、道具類など合計80kgもの荷物を載せたそりを各自で引きながら、1日6時間から10時間かけてスキーで前進し、目的地に到達しました。
事前の計画には数ヶ月、トレーニングには数百時間を費やしたということです。
「目的地に辿り着いた瞬間の感激は本当に素晴らしいものでした。経験したすべてが楽しかったけれど、南極点到達で有終の美を飾れたと思います」(以下、発言はウェイクリン氏)
体重が軽くなったのと、最終日に頬の2ヶ所に凍瘡が生じたくらいで、良好な健康状態で長距離の移動を成し遂げたことにも、喜びを感じているということです。
過酷な環境
コモンウェルス諸国から選ばれた他の女性の出身国は、ブルネイ、キプロス、ガーナ、インド、シンガポール、イギリスと多岐にわたりました。
風による冷却効果を計算から外しても気温がマイナス30℃となる極地では、思うように進めない日もありました。
氷雪面の状態が悪く、予定以上の時間がかかってしまった場所もありましたが、クリスマスの頃になると気温が上がり、ほぼ平坦な面に出たため、計画通り年越し前に目標を達成するべく、ペースを上げて挑みました。
ウェイクリン氏はチリへの航空便で南極を発つ前、パトリオット・ヒルズのアンタクティック・ロジスティックス・アンド・エクスペディションズの基地から、クリスマスの願い事がすべて叶った今、1月15日の帰国日に家族のもとに戻ることを楽しみにしている、と語りました。
「飼い犬にも一刻も早く会いたいですし、母の手作りのローストチキンが食べたいです。何週間か遅れのクリスマスのごちそうを用意して、家族が待ってくれているんです」
疲れと汚れ
南極点に到達した一行は、疲れも汚れもピークに達していました。パトリオット・ヒルズの基地のスタッフが教えてくれるまでの数日間、シャワーの存在に気付かなかったほどです。
「設備は簡素でも、人生で最高のシャワーでした。私たちの歓声はそこら中に響いていたのではないでしょうか」とウェイクリン氏は振り返っています。50日間に利用できた衛生用品は、1人1日につき1枚の清浄用ウエットティッシュだけだったのです。
彼女は、多少の我慢をしてでも体験する価値は十分にあった、と語っています。
「3週間、4週間と経つにつれて、気にならなくなるんです。時々臭うな、と思ったり、獣っぽいかも、と思ったりはしましたけどね」
シャワーに入れることになって、何層にも着込んでいた防寒服から解放された喜びも格別だったようです。「重い服を脱いで、もうすぐ素肌に天然の熱を感じることができるなんて、夢のようです」
女性と選択の自由
今回のチームは女性だけで編成されたわけですが、ウェイクリン氏は、一緒に大冒険を乗り越えた仲間に、女性が自由な選択をできるような状態でない国からの参加者がいたことで、より貴重な体験ができた、と述べています。
「自分とは全く環境の異なる国の話を聞いて、ニュージーランドに生まれ育ったことがどれだけ幸運か、思い知らされました」
「ただ、環境や習慣こそ違っても、私たちは結局のところ同じ人間なのです。実際、冒険の間は着ているものも、垢まみれの体が臭うことも、全く同じでした。肌の色や信仰、その他諸々のこととは関係なく、私たちが必要としていることに何の違いもありませんでした」
女性チームの利点は多く、なかでも統制が取りやすいこと、互いを労わり合うことの2点では長所が発揮されたということです。
「目的地に着いた時に、少しでも写真映りのよい状態でいたいという気持ちはあったでしょうね。でも女性は概して自己管理が上手で、無謀な挑戦はしません。実際、南極の環境では無謀に出るなんてできないですから」
ニュージーランドと南極と
ニュージーランド人女性として初めてのスキーによる南極点到達を達成した人物になったことについて、どう感じているかと聞かれたウェイクリン氏は次のように答えています。
「エドモンド・ヒラリー卿が50年代に成し遂げたことですから、ニュージーランドの女性からもそろそろ誰か達成者が出ていい頃だったのではないでしょうか。南極の歴史と縁の深いニュージーランドから参加できたことは光栄です」
今回の遠征に成功したことで、自分が変わったとまでは考えていないウェイクリン氏ですが、数多くの人々、特に女性から寄せられた支援や励ましの声には驚いたということです。
「たくさんの女性に言われたんです、女性だけでそんなことが達成できるなんて思いもしなかった、って」
キーウィとしての誇り
「私はニュージーランド人であること、ニュージーランドの代表として参加できたことをとても誇らしく思いました。私たちキーウィは、現実的な問題解決能力に優れていて、たいていの物事には焦らず対応でき、早急にストレスを溜めるようなことはありません。他のメンバーもそれぞれに持ち味があったのですが、私はそんなキーウィの現実的な面で貢献できたと思っています」
一方で、コモンウェルスから集まった女性たちの挑戦について、懐疑的な見方をした人も少なくありませんでした。その傾向は特に男性にみられたのですが、それがメンバーの決意をいっそう固くしたとも言えます。
チリを出発後、一行はロンドンで開催されるメディア関連のイベント(2010年1月11日月曜日、コモンウェルス・クラブにて)に出席することになっています。また、1月12日火曜日には、BBCのテレビ番組に登場する予定です。
ウェイクリン氏はニュージーランドに帰国後、家族と休暇を過ごし、後にはパイロットとして新たなキャリアを形成するということです。「ニュージーランドは何をするにも最高の国」と言う彼女は、ニュージーランド上空を飛行する日を待ちわびています。
また、世界各地で多くの同胞が様々な偉業に取り組んでいることについても、次のように触れています。
「地球上の誰も知らないような場所で、初登頂その他の偉業に挑戦しているニュージーランド人がたくさんいます。そんな人たちにも声援を届け、支え合うことができればと思っています」
カイリー・ウェイクリン
2009年10月上旬、ニュージーランド代表としてコモンウェルス南極遠征団に参加。
パイロットを目指す以前の16年間は、サザンアルプスのタスマン氷河のふもとでグレイシャー・エクスプローラーを運営。
過去には
スキーツーリングや登山隊、イギリスの南極調査団にも参加している。
関連情報:
Kiwi woman off to South Pole - 12.11.09(英語)
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