日本の旅行者、ニュージーランドの森を走る
2010年5月24日
先週ニュージーランドのノースランドにあるカウリの森を日本からの旅行者が訪れ、地元の人々に混じってファンランを楽しみながら、二つの文化の親睦に貢献しました。
毎年行われているワイポウア・フォレスト・ランは地元マオリの大半が集まる和やかなイベントです。12kmのコースはカウリの原生林の中にあり、ウォーキングでもランニングでも参加できます。連続3回目となった今年、日本からの参加者もかなりの人数になりました。
日本からのファンラン参加者は3年前の初回は15名、今回42名。来年の予測は70名だということです。
命ある宝物
ワイポウア森林公園のタネ・マフタと日本の屋久島に立つ樹齢7200年ともいわれる 縄文杉という二つの命ある宝物は姉妹木関係で結ばれています。ファンランに日本から参加者がやってくるのも、その交流関係に寄与したいという意思表明と言えるでしょう。
それぞれの故郷で大切にされている古代の樹木は、昨年(2009年4月)世界のエコツーリズムに先駆けて発足した「The Family of Ancient Trees – 古代木ファミリー」プロジェクトにて、初の姉妹木となりました。関係の締結には、マオリのテ・ロロア族と屋久島の人々が参与しています。
同プロジェクトは、独自の自然環境を保全し共有してゆくという同じ展望のもと、観光アクティビティを通じてそれぞれの地域社会に貢献しながら、二つの文化を結ぼうとするものです。
ニュージーランドのワイポウア森林公園には年間9~11万人、屋久島の国立公園には年間40万人の旅行者が訪れています。
ワイポウア森林公園
成熟したカウリの森はノースランド地方の特徴のひとつですが、その中でもワイポウア森林公園には現存するものとして最大の巨木があります。
カウリの原生林はかつてワイカト地方から北島北端部までの広大な地域を覆う巨大なものでした。しかし、19世紀から20世紀にかけて、伐採やカウリガム(ニスなどに利用)採取、農地開拓、火災などの影響により、大部分が失われてしまいました。現在残っている原生林は保護の対象となっています。
カウリは数ある樹木のなかでも特に大きく成長する種で、高さ50m以上、幹周で16m、樹齢2000年以上のものが現存しています。
タネ・マフタ(森の神)、テ・マトゥア・ナヘレ(森の父)と呼ばれる最大・最古の木々は、歩きやすい遊歩道が整備されているので、気軽にその堂々とした姿を見ることができます。
地元のツアー催行会社、フットプリンツ・ワイポウアでは夜の森を訪れ、暗い森の中でマオリの伝統世界に触れるガイド付きツアーを提供しています。
博物館でも相互展示
古代木ファミリー・プロジェクト発足1周年を記念して、ニュージーランドと日本の博物館で、それぞれの木と森の物語を伝える展示物を交換、公開するという企画が実施されました。
ニュージーランド側の展示場所はマタコへ・カウリ博物館で、先週の公開初日の式典には、7人の高校生と屋久島の日高典孝副町長を含む日本側代表団も出席しました。
同博物館では多数の写真と英語・日本語の案内で姉妹木を紹介するとともに、森林環境に関する情報、カウリと屋久杉の木材の標本と用途などを詳しく解説しています。
同様の展示は先月屋久島の屋久杉自然館でも公開されています。
学校交流
日本人学生はホキアンガに1週間滞在し、マオリ語学校クラ・カウパパ・フィリナキの生徒と家族の目線で地域の景観を見て、マオリ文化を体験しました。
ホキアンガにいる間、学生グループはニュージーランド最大のカウリの木、タネ・マフタに会いに森へ出かけ、ファンランに参加しました。
今年の後半には、ホキアンガの子どもたちが先生の引率で屋久島を訪問し、縄文杉を見て草の根の日本文化を体験することになっています。
古代木ファミリー
古代木ファミリー・プロジェクトは生命の歴史の始まりにまで遡る長い旅への第一歩です。
文化的背景の異なる地域社会が、赤道を挟んでほぼ反対側で数千年の時を生きてきた二つの巨木の存在を介して結びつき、環境と地域文化を守るために力を尽くし、活気ある社会を維持しようとしているのです。
どちらの木も、地元住民にとっては精神文化の支えとなる重要なシンボルであることに違いはありません。
ニュージーランド北部カイパラ地方に位置するホキアンガに住むマオリの人々は、ワイポウア森林公園を見守る樹齢2000年のカウリ(agathis australis)の木をタネ・マフタと呼び、昔から大切にしてきました。
森の神タネ・マフタはマオリの創世神話の主役です。父なる空と母なる大地の永遠の抱擁を偉大な力で引き離し、この世界を創造したと伝えられています。
一方、太平洋の向こう側、屋久島では、杉(cryptomeria japonica)の木々が同じ時を重ねてきました。島には多数の杉の木がありますが、最大級の縄文杉や大王杉は樹齢2000年以上、縄文杉は樹齢7200年とも言われています。
関連情報:
タネ・マフタ − ニュージーランド、ワイポウア森林公園
ニュージーランド最大のカウリの木、タネ・マフタ(樹高51.2m、幹周13.8m)はノースランド地方のホキアンガに近いワイポウア森林公園(9105ha)の守り神です。
環境保護派の人々とテ・イウィ・オ・テ・ロロア(地元マオリの管理委員会)という2つの異なるグループから成るワイポウア・フォレスト・トラストのような有志運営の基金は、ワイポウアの保護や再生はもちろん、案内や広報といった活動にも力を入れています。
ワイポウアの森は、ニュージーランド独特の文化、歴史、動植物を次世代へと保全していく、という伝統的なマオリの概念、カイティアキタンガを代表するものです。
屋久島の縄文杉
旅行者に人気の観光名所、縄文杉のある屋久島の一部は1993年にユネスコの世界遺産に登録されました。
樹高25.3m、幹周16.4m の縄文杉は樹齢推定2000年、島内で最大、最古の杉です。
倒木を礎にして新たな木が育ったのだとすれば、樹齢7200年の可能性もあるといわれています。しかし、中心部には空洞があり、最も正確な樹齢は約2170年と考えられています。節が多く幹がうねり、木材としての利用には適さなかったことから、江戸時代には伐採の危険から逃れたとも伝えられています。
その他の関連情報:
The Family of Ancient Trees - 古代木ファミリー プロジェクト 第一弾 屋久島「縄文杉」とニュージーランド「タネ・マフタ」が姉妹木関係を締結
タネ・マフタ - 天と地を隔てた者
Iconic New Zealand native flora(英語)
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