南島の西海岸には、野生のニュージーランド・オットセイを間近に見られる場所があります。

ニュージーランド・オットセイのメスは一生を同じコロニーで暮らします。11月の終わり頃に出産し、1週間ほどすると次の繁殖期に入ります。そして、育ち盛りの赤ちゃんに1週間ほど授乳して、数日海に餌を食べに出ることを繰り返します。ですから、ファウルウィンド岬のタウランガ・ベイのような営巣地では、通年活発なオットセイたちの様子が見られます。

繁殖期目前の11月終わりごろになると、オスがコロニーにやってきて、子孫を残す権利をかけて競いあいます。勝ち残ったオスは通常7頭以内、多ければ16頭のメスと交尾をします。オスはそのまま岸に残ります。最大2ヶ月、食べずに防衛することもあります。1月半ばくらいになると、大半のオスはコロニーを離れて海に戻ります。

タウランガ・ベイの駐車場から、整備された歩道を10分ほど歩いて行くと、オットセイのコロニーの見える展望台があります。オットセイの様子や生活サイクル、かつてニュージーランドで盛んに行われていたオットセイ猟の歴史などを解説したパネルが設置されています。

ケープ・ファウルウィンドからタウランガ・ベイへ南下する海岸遊歩道は片道1時間半程度です。崖の端やなだらかな牧草地、砂浜、岩壁などを通ります。歩いている間、岬と荒々しい海岸線のパノラマ風景が楽しめます。ファウルウインド岬の灯台に繋がる脇道に入ってみてもよいでしょう。

アベル・タスマンは1642年12月14日に、ヨーロッパ人として初めてこの岬を初めて目視しました。この史実を記念して、タウランガ・ベイを見下ろせる場所にアストロラーベ(昔の天体観測用機器)と解説が掲示されています。タスマンは当初ロッキー・ケープと名付けましたが、後にキャプテン・クックによってケープ・ファウルウィンドと改められました。それは、エンデバー号でこの辺りまで来たとき、悪天候にみまわれ、強風で沖へ流されたためだということです。

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