ニュージーランドの森林で完璧にカムフラージュしている野生のキーウィはほとんど人前に姿を現すことがありません。それでもニュージーランドを訪れるからには本物のキーウィを見てみたい、という方のために、この国を象徴する鳥に会えるおすすめの場所をご紹介します。

Spotting a kiwi is an essential New Zealand experience.

ニュージーランドの国鳥、キーウィにはユニークな特徴がたくさんあります。キーウィの卵はとても大きく、同じくらいの体格の他の鳥の卵と比べると6倍のサイズです。鼻は長いくちばしの先端についていて、地中の獲物のにおいを嗅ぎ分けることができます。そして、口元にはひげが生えています。

キーウィが確実に見られる方法は、全国各地にある保護飼育施設を訪れることです。野生のキーウィを探しに行く場合は、日の出前か日の入り直後の時間帯が狙い目です。

運よくキーウィに会えたとしても、近づいたり気を引こうとしたりせず、普段通りに行動する様子をその場で静かに見守ってください。

また、飛べないキーウィにとって、犬などの動物はとても危険です。キーウィの生息する可能性のある場所では、犬は必ずリードにつないでください。

1.ナショナル・キーウィ・ハッチェリー

ナショナル・キーウィ・ハッチェリーはキーウィの保護飼育活動で重要な役割を果たしています。オコジョや猫、犬といった捕食者のいる現在の自然環境では、ヒナの生存率はわずか5%程度ですが、この施設では年間で130羽のヒナが誕生し、育てられています。

施設は通年見学可能。キーウィの保護飼育の様子は常時紹介されていますが、ヒナを見てみたい場合は9月から3月までの孵化期に訪れるとよいでしょう。

2.カピティ島

カピティ島は1897年に設立された世界でも特に長い歴史のある自然保護区で、野鳥保護において先駆的な貢献をしてきました。害獣のいないカピティ島には、ニュージーランドの様々な鳥たちが生息しており、本土からは姿を消したリトル・スポッテッド・キーウィ(コマダラキーウィ)も悠々と暮らしています。野生のキーウィを見たい場合は、島に1泊する手配をしておいて、夜のガイド付きツアーに参加するのがおすすめです。グランピングは特に人気が高く、運よく予約できたら、夜にキーウィの鳴き声を聞き、朝は森林の野鳥たちの奏でる世界一のコーラスで目覚める体験ができます。

3.ジーランディア

ウエリントン近郊にあるジーランディアは害獣のいない野鳥保護区を都市部で実現した世界で初めてのエコ・サンクチュアリーです。ニューヨークのセントラル・パークほどの範囲が40種を超える固有種・在来種の野鳥たちのすみかになっています。本土では100年以上絶滅状態だった貴重な種もいくつかいます。夜のツアーに参加して、懐中電灯を手に、キーウィやルル(フクロウ)のほか、ツチボタルやウェタ(見かけは巨大なコオロギのような昆虫)を見に行くことができます。春には熟して発酵した実を食べたケレルが酔っ払って枝を掴み損ねそうになる様子が見られることもあります。

4.スチュアート島 / ラキウラ

スチュアート島 / ラキウラはニュージーランドでも特に美しい手付かずの自然あふれる島です。ここを訪れる多くの旅行者の目的は、野生のキーウィに会うことです。人前になかなか姿を現さないとても慎重な鳥ですが、ワイルド・キーウィ・エンカウンター(opens in new window)のツアーに参加すると見られる確率が高まります。この島にいるキーウィ、トコエカ(サザン・ブラウン・キーウィ)の観察に最適な場所へ、専門ガイドがご案内します。途中、海の生き物を見たり、温かいお飲み物とビスケットで休憩したりと充実した内容になっています。

5.ロトロア島

キーウィのヒナが運ばれてくるタイミングに合わせてハウラキ湾に浮かぶロトロア島を訪れてみませんか。誕生からわずか数週間、石けん1個分くらいの体重のヒナは害獣のいないこの島に放たれ、自然の中で生きることを学びます。そして自分で身を守れるくらいに成長したら、元の環境に戻されます。放鳥の見学をする機会は9月から3月の繁殖期に設けられています。詳しくはロトロア島のFacebookのページ(opens in new window)を参照してください。

6.オトロハンガ・キーウィ・ハウス

普段のキーウィの様子を見てみたいなら、オトロハンガ・キーウィ・ハウスは必見のアトラクションです。昼夜を反転させた専用の飼育舎が2つあり、森の中を歩きながら餌を探したり、池で水浴びをしたり、穴を掘ったりといったキーウィの行動を間近に見ることができます。

7.サンクチュアリー・マウンテン®・マウンガタウタリ

サンクチュアリー・マウンテン®・マウンガタウタリのナイトツアーで夜行性動物の世界を見に行きましょう。経験豊富なガイドが、静かに光を発するツチボタルや巨大なコオロギのような姿のウェタ、キーウィのいる森の中へご案内します。この保護区にいるノースアイランド・ブラウン・キーウィは多く、個体数は4桁にのぼるほどです。春から夏にかけては運が良ければナガオコウモリを見かけたり、カカの夜の歌が聞こえてきたりします。

8.プカハ・ナショナル・ワイルドライフ・センター

プカハ・ナショナル・ワイルドライフ・センターはタラルア地方にある有名な保護飼育施設です。管理下で卵を孵化させ、ヒナをある程度育ててから自然環境に戻しています。9月から3月は繁殖期にあたり、昼夜を反転した飼育舎でかわいいヒナたちの様子が見られます。

その他にもガイド付きツアーや講座に参加したり、ティティポウナム(ライフルマン)、カレアレア(ニュージーランド・ファルコン)、コカコといった珍しい鳥を見たりできます。

9.ウィローバンク野生動物公園

クライストチャーチのウィローバンク野生動物公園はガラス越しではない自然な状態でキーウィを観察できるユニークな施設です。国鳥キーウィをはじめ、ニュージーランドの固有種、在来種の生き物を保護する活動に取り組んでいます。国のキーウィ育成プログラム、オペレーション・ネスト・エッグの一環として、4種のキーウィ(ロウィ、ハースト・トコエカ、グレート・スポッテッド・キーウィ、ノースアイランド・ブラウン・キーウィ)の卵を孵化させています。見学は毎日午前10時半から午後5時まで可能です。

10.ウエストコースト・ワイルドライフ・センター

フランツ・ジョセフのウエストコースト・ワイルドライフ・センターではニュージーランドで最も珍しいキーウィ、ロウィを見ることができます。アトラクションとして受賞もしているこの南島最大の人工孵化・飼育施設は、絶滅が危惧されるハースト・トコエカとロウィの存続で成果をあげています。昼夜を反転した飼育舎の中は自然と同様の環境が再現されていて、来場者が貴重な鳥たちの様子を見られるようになっています。バックステージ・パス・ツアーに参加すると、キーウィの保護活動に従事しているスタッフに会い、舞台裏に迫る体験ができます。

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